OUE

ものづくりブログです。音楽などを中心にやっていきます。作ろう!ものづくりイベントやろう!

Big Muff Pi を作ろう 20241008版

  • オリジナル:Electro Harmonix Big Muff Pi
  • エフェクターのタイプ: ファズ / ディストーション
  • マニア度: 定番
  • 基板のサイズ: 5cm x 6cm / ケース: 1590Bタイプ
  • 提供法: 基板頒布

Big Muff Pi の長い歴史にはたくさんのバージョンがあり、また派生したものも多いです。それぞれファンが居ます。各バージョンでは基本的な回路構成が同じで、トランジスタが違ったり受動素子のパラメータが違うだけなので1つの基板で好みの Big Muff Pi を作れます。

基板上の部品番号は Kit Rae さんの WEB サイト「The Big Muff π Page」の Evolution of the Big Muff Pi Circuit に掲載されているものと合わせてあります。このサイトには歴代の Big Muff Pi とその派生品の回路図があります。ここを参考にお好みのパラメータで作ってみてはいかがでしょうか。

この基板では ECB 配列と EBC配列のNPNトランジスタに対応できるようにしています。日本で有名な 2SC1815 は ECB 配列です。上記サイトでよく出てくる 2N5088 や BC547L は EBC 配列です。BC547L は CBE 配列ですが、ひっくり返せば EBC 配列になります。また、基板のパターンは SOT-23 も取り付けられるものにしています。例えば MMBT5089(2N5089のチップ版) や 2SC2712(2SC1815のチップ版) は部品面ではなくはんだ面の ECB 配列(Q1〜Q4)に取り付けられます。仕様書で配列を調べてください。

www.bigmuffpage.com

ビンテージに使われている FS36999 と 2N5133 は入手できなさそうなのでクローンはできなさそうですが、実機から hFE を測っている方がいて似たトランジスタは探せそうです。

www.freestompboxes.org

www.freestompboxes.org

これらによると概ね 150 から 200 くらいだそうです。2SC1815 であれば Y ランク(120-240)くらいでしょうか。

https://www.bigmuffpage.com/images/KR_1973_V2%20No%203_Measured%20Values.jpg

こちらでも実測していて 167 から 193 の間です。

代表的な部品リスト

たくさんあるバリエーションの中からよく名前の挙がる Big Muff Pi のパラーメタを列挙しておきます。

部品番号 トライアングル (V1 67#1) Ram's Head "47" (V2) Ram's Head "violet" (V2) (V3 76#3) Civil War (V7) Green Russia (V7C)
R2 33k 33k 33k 39k 39k 39k
C1 0.1u 0.47u 0.1u 10u 0.1u 0.1u
Q4 FS36999 FS36999 FS36999 BC239 KT3102E KT3102E
R14 100k 100k 100k 47k 100k 100k
R9 470k 470k 470k 470k 470k 470k
C10 500p 470p 470p 470p 430p 500p
R22 100 100 100 100 390 390
R13 10k or 15k 12k 12k 15k 12k 12k
C4 0.1u 0.47u 0.1u 1u 0.1u 0.1u
RV1 100k 100k 100k 100k 100k 100k
R23 820 1.2k 560 1k 1k 1k
C5 0.1u 0.47u 0.1u 0.1u 0.1u 0.1u
R19 8.2k 7.5k 8.2k 10k 10k 10k
Q3 FS36999 FS36999 FS36999 BC239 KT3102E KT3102E
R20 100k 100k 100k 100k 100k 100k
R17 470k 470k 470k 470k 470k 470k
C12 500p 470p 470p 470p 430p 500p
C6 0.1u 0.47u 0.1u 1u 47n 47n
D4 1N914 1N914 1N914 1N914 1N914 1N914
D3 1N914 1N914 1N914 1N914 1N914 1N914
R21 100 100 100 150 390 390
R18 10k 12k 12k 15k 12k 12k
C13 0.1u 47n 0.1u 0.1u 0.1u 0.1u
R12 8.2k 7.5k 8.2k 10k 10k 10k
Q2 FS36999 FS36999 FS36999 BC239 KT3102E KT3102E
R16 100k 100k 100k 100k 100k 100k
R15 470k 470k 470k 470k 470k 470k
C11 500p 470p 470p 470p 430p 500p
C7 0.1u 47n 0.1u 1u 47n 47n
D2 1N914 1N914 1N914 1N914 1N914 1N914
D1 1N914 1N914 1N914 1N914 1N914 1N914
R10 100 100 100 150 390 390
R11 15k 12k 12k 15k 12k 12k
R8 33k 33k 33k 39k 20k 20k
C9 4n 4n 4n 4n 3.9n 3.9n
C8 10n 12n 10n 10n 10n 10n
RV2 100k 100k 100k 100k 100k 100k
R5 33k 33k 33k 22k 22k 22k
C3 0.1u 0.47u 0.1u 0.1u 0.1u 0.1u
Q1 FS36999 FS36999 FS36999 BC239 KT3102E KT3102E
R3 100k 100k 100k 100k 100k 100k
R7 390k 470k 470k 430k 470k 470k
R4 2.7k 2.7k 2.7k 3.3k 2.7k 2.7k
R6 12k 12k 12k 15k 10k 10k
C2 0.1u 0.47u 0.1u 0.1u 0.1u 0.1u
RV3 100k 100k 100k 100k 100k 100k

※ Ram's Head "47"の C6 と C13 の値が間違ってそうですが現物の写真を見る限り正しいです。

※ Kit Rae さんのWEBサイトによるとロシア製 KT3102E は 2N5089 と似てるそうだ。同じ部品パラメータの Black Russian では BC549C や BC547C も使っていて、いずれも hFE は 400-800 くらいです。

※ 1N914 と 1N4148 は名前は違いますが同じものです。

その他の部品リスト

この基板には上にリスト化した部品の他に下記の部品を使います。元になった EHX 社製品には電源のコンデンサ(C14・C15)も回路保護用ダイオード(D5)もパイロットランプ(R1・D6)もあったりなかったりするので省略できます。また、基板のみの頒布なので部品のランクや値は好みで変更してください。

部品番号 備考
R1 ※1 39k 橙白橙 パイロットランプLED用
C14 47u 電解
C15 100n 104 セラミック
D5 ※3 1N4001 回路保護用
D6 ※2 LED パイロットランプ
3PDTフットスイッチ
6.3mm ジャック 入出力ジャック各1個
2.1mm DCジャック +9V 電源

※1 LEDはそれぞれ明るさが異なります。抵抗値を変えると流れる電流を調整でき好みの明るさにすることができます。抵抗値を大きくすると暗くなります。適当な値でよいので、手持ちの抵抗を利用しましょう。パイロットランプLEDを使わない場合は省略できます。

※2 パイロットランプです。アルミケースで仕上げる場合はケースに取り付けて基板のLED端子から導線でつなぎます。ケースではなく基板上のD4に直接取り付けることもできます。そもそも無くても動作します。

※3 1N400xのいずれでも大丈夫です。

※ フィルムコンデンサはFaithful Link社製のサイズで作ってあります。他社のものを使うときはスペースが足りるか確認してください。

基板の端子

端子名
RV1 Sustain つまみ
RV2 Tone つまみ
RV3 Volume つまみ
J3 電源端子 2.1mm DCジャック 9Vを給電します
J5 LED 端子 パイロットランプをケースに取り付けるときに使います
J1 IN フットスイッチ基板の IN につなぎます
J6 SW LED フットスイッチ基板の LED につなぎます
J4 SW GND フットスイッチ基板の GND につなぎます
J2 OUT フットスイッチ基板の OUT につなぎます

作り方

2SC1815-Y で Ram's Head violet を作ってみた

基板に部品を取り付ける

  • 抵抗など背の低いものから順番に取り付けていきます。

  • パイロットランプ用の LED はケースに取り付けと基板に取り付けを選べます。基板に取り付けるときは D6 に取り付けます。四角いランドの方がカソードです。ケースに取り付ける場合は J5 端子から導線で取り付けます。後ほど出てくる配線図を参考にしてください。

極性に注意

  • 電解コンデンサ(C14)は極性があります。コンデンサの白い帯(マイナス)側を基板の白塗り側に取り付けます。V3 の C1・C6・C7 のように電解コンデンサが指定されていることがあります。その場合 Kit Rae さんの回路図から極性を調べてください。テスターでどの部品と繋がってるかを調べると分かります。V3 の場合は 3 つともトランジスタのベースに繋がってるので、C1 → 数字側が+、C6・C7 → C 側が+です。
  • ダイオードには極性があります。基板上の帯と部品の帯を一致させます。LED は四角いパッドのほうがカソードです。

トランジスタの位置

2SC1815 のように ECB 配列のトランジスタは Q1 から Q4 に取り付けてください。EBC 配列は Q5 から Q8 です。SOT-23 パッケージの場合は前述のようにしてください。

ボリューム類の配線

可変抵抗の配線を下図のようにします。基板ははんだ付け面になってることにご注意ください。

配線の仕方は Guv'nor の「ボリューム類の配線」を参考にしてください。リード線の長さがちょうどよくなり、ケースに収めるときもスマートです。

スイッチ類の配線

下図のように配線します。

POWER+- には電源を、LED にはパイロットランプ用の LED をつなぎます。 フットスイッチ用基板を使う場合は J1、J6、J4、J2 の端子を下のようにフットスイッチ基板の端子につなぎます。

フットスイッチ用の基板を使わない場合は次のようにしてください。

  • 入力6.3mmジャックの信号(チップ)を基板の J1(IN)につなぐ。GND は J4(GND)に。
  • 出力6.3mmジャックの信号(チップ)を基板の J2(OUT)につなぐ。GND は J4(GND)または入力ジャックの GND に。
  • J6(LED)は J4(GND)に。

演奏中フットスイッチで切り替えないのであればフットスイッチを省略できます。かなりのコストダウンになります。頑丈なケースも必要なくなるので100均のプラスチックケース(3個セットの保存パックなど)にするとさらにコストダウンできます。

仕上げる前に

仮組み・通電までして電源まわりとトランジスタの電圧のチェックをします。

  • J3 の電圧(約9V)を計る。→電源から J3 までに問題。
  • トランジスタのコレクタの電圧が電源の半分程度になっているかを測る。使った部品の値で変わってきます。→トランジスタ周りの部品のはんだ付けを確認。

問題なければギターか発振器を入力につないで音出ししてみます。ケースに入れて完成です。

お買い物リスト

どのバージョンを作るかで異なります。例として Ram's Head violet 風の部品を載せておきます。部品の省略やパラメータの選択で変更してください。秋月電子さんの部品番号を書いています。部品調達の参考にしてください。廃番になることもあります。

部品番号 数量 秋月販売コード
R1, R2, R5, R8 33k 4 125393
R3, R14, R16, R20 100k 4 125104
R4 2.7k 1 125272
R6, R11, R13, R18 12k 4 125123
R7, R9, R15, R17 470k 4 125474
R10, R21, R22 100 3 125101
R12, R19 8.2k 2 125822
R23 560 1 125561
C1, C2, C3, C4, C5, C6, C7, C13 100n 8 114597
C8 10n 1 114599
C9 ※1 3.9n 1 115046
C10, C11, C12 470p 3 108130
C14 47u 1 117403
C15 100n 1 113582
D1, D2, D3, D4 1N4148 4 100941
D5 1N4007 1 100934
D6 赤色LED 1 111577
RV1, RV2, RV3 100k (B) 3 116468
Q1, Q2, Q3, Q4 2SC1815-Y 4 106475
3PDT 1 117590
6.3mm ジャック 2 114813
2.1mm DCジャック 1 117108

※1 4n はないので 3.9n の販売コードです。

頒布について

メルカリにて頒布予定です。「【PCB】 Big Muff Pi を作ろう 20241008版」というタイトルで出品します。 フットスイッチ用の基板をご希望の場合は無料でご提供します。購入後に取引メッセージなどでお知らせください。

おまけ

下の画像では部品に書いてある値(灰色)と実測値(黒)が書き込まれています。大丈夫か?というくらいずれています。10%超えてたら誤差ではないよね。上で代表的なバージョンのパラメータをリスト化しましたが、これだけずれていたらそんなに厳密に考えてもしかたないと思えてきました。

https://www.bigmuffpage.com/images/KR_1973_V2%20No%203_Measured%20Values.jpg